徒然なるままに〜120秒で読む言葉

意味はありません。ただおもったことを書き綴っています。120秒でよむことができるような短い言葉ばかりです。隙間時間の一息にどうぞ

【創作話】8話 長いトンネル

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「ねえ、なにか変な音がするんだけど。」

高橋は、不安そうに言った。

「ああ、それは電車の音だよ。このトンネルは、電車が走っているから少し音がするんだ。」

私は、高橋の肩を軽く叩いた。私たちは、学生時代の同級生で、偶然再会して、一緒に旅をしていた。

「でも、こんなに長いトンネルって、初めてだなあ。」

高橋は、不安そうに言った。

「そうだね、でもきっとすぐに抜けるよ。」

私は、自信満々に答えた。しかし、それは大きな勘違いだった。

トンネルは、どんどん長くなっていく。私たちは、ずっと歩き続けたが、どうしても抜けられなかった。

「もしかして、迷子になっちゃった?」

高橋が心配そうに言った。

「大丈夫だよ、きっと出口があるから。」

私は、自分自身に言い聞かせた。

しかし、時間が経つにつれ、私たちはますます不安になっていった。飲み物も食べ物もなく、疲れきっていた私たちは、どんどん心が折れていく。

「どうしよう、もうダメだ。」

高橋が落ち込んでいた。

「待って、もしかしてここに携帯の電波が届くんじゃないか?」

私は、必死に携帯を操作していた。しかし、どうしても電波は届かなかった。

「ダメだ、電波は届かない。」

私は、落ち込んでいた。

しかし、そこで私たちは、新しい気づきを得た。私たちは、一人では生きていけないということを。

「私たちは、一緒に頑張ろう。」

私は、高橋に言った。

「うん、一緒に頑張ろう。」

高橋も、力強く答えた。

私たちは、お互いを励ましあい、手を取り合って進んでいった。時間が経つにつれ、トンネルが明るくなっていく。そして、とうとう出口にたどり着いた。

私たちは、抱き合って喜び合った。

「ありがとう、一緒に頑張ってくれて。」

私は、高橋に言った。

「いいえ、こちらこそありがとう。」

出口から出ると、そこは美しい山々と緑豊かな大自然が広がっていた。私たちは、息を飲むほどの美しさに圧倒された。

「やっと出られたね、この景色は最高だよ。」

高橋が、感動的な言葉を口にした。

「本当に最高だね。」

私も、感動のあまり言葉が出てこなかった。

その後、私たちは一緒に旅を続け、たくさんの素晴らしい場所を訪れた。しかし、私たちにとって、トンネルを抜けた先で得たものが、一番大切なものだった。

私たちは、一緒に困難を乗り越えた絆ができた。それは、一生忘れることのできない宝物だった。

そして、私たちはお互いに約束した。もう一度、どこかに旅行に行くこと。それは、あのトンネルを抜けた先で、私たちが見つけた最高の景色をもう一度一緒に見るためだった。

私たちは、お互いの手を握り合い、また新しい冒険を始めるため、一歩踏み出した。

 

(この話はフィクションです)

 

 

 

 

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